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大足オオバン 越冬地拡大

[オオバン(Photo by hiro-ma)]

オオバン、という鳥を知っているでしょうか。
身近な川や池にもやってくる冬鳥ですが、よくカモと混同されるなど、あまり認知度は高くないようです。よく見てみると、その姿や習性はとてもユニークで、カモとはまったく異なります。

オオバンという鳥

オオバンは、分類上はツル目クイナ科に属する水鳥です。クイナ科の鳥としては沖縄のやんばる地方に暮らすヤンバルクイナが有名ですが、オオバンもその仲間です。

[似ている??オオバン(左)とヤンバルクイナ(右)]

ヨーロッパからアジアにかけてのユーラシア大陸、オーストラリアやアフリカの北部にも分布しています。湖沼や湿原、河川などに生息し、日本では北海道から九州・沖縄にわたって全国で見ることができます。

[オオバンの主な分布域。ピンク:繁殖地、緑:越冬地、黄:周年生息地。]

水草をよく食べますが、雑食性であり、昆虫や魚類なども食べます。

[水草をくわえるオオバン(Photo by こうりん)]

体長は36 cm~39 cmほど。黒い羽毛に覆われており、赤い目と白いくちばし、くちばしの上にある白い部位が特徴です。ほかのクイナ科の鳥と同じように、オオバンもずんぐりしたからだと太くてしっかりした脚をもっています。そして、ひときわ目を引くのは不思議な形の水かきです。

不思議な水かき

鳥の水かき、といえばカモなどがもつような、足の指と指の間に膜が張った水かきをイメージするのではないでしょうか。このようなタイプの水かきは「蹼膜(ぼくまく)」とよばれますが、オオバンの水かきはそれとはずい分と違います。

[オオバンの弁膜とマガモの蹼膜:足の膜の造りが大きく異なります。]

オオバンの足をよく見ると、木の葉のような丸みを帯びた膜がついています。この膜は「弁膜(べんまく)」とよばれます。大きな足を動かしてペタンペタンと歩く姿もなんとも愛くるしいです。ふだんは水面を泳いでいることが多く観察が少し難しいので、陸上にいるときが観察のチャンスです。

オオバンの越冬地拡大中

夏季を岩手・秋田県以北で過ごしたオオバンは、冬季には南下し、大陸から飛来した個体とともに宮城県以南で越冬するとされてきました。ところが、近年は東北地方北部での越冬が数多く報告されており、現在では北海道でもオオバンの越冬が確認されるようになりました。越冬地の北上は、地球温暖化との関連が指摘されています。

オオバンを見かけたら是非、気候変動いきもの大調査(バイオーム)に投稿を!

ガンやカモの仲間と比べると、オオバンの調査はあまり行われていないのが実情です。そのため、越冬地の拡大状況についても十分には明らかになっていません。オオバンを見かけられましたら是非投稿してください。


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