ヒロへリアオイラガとヨコヅナサシガメ
ヒロヘリアオイラガはアジア大陸原産の外来種で、1920年ごろに輸入された樹木にくっついて九州に侵入してきました。現在では関東地方まで分布を広げています。地球温暖化も分布拡大の一因と考えられています。幼虫は毒棘に覆われており、刺されると非常に痛みます。
ヒロヘリアオイラガの幼虫
強力な毒を持つヒロヘリアオイラガですが、意外と天敵が多く、防除の観点から天敵となる鳥や他の昆虫との関係性が研究されてきました。中でも興味深いのがヨコヅナサシガメという肉食のカメムシの仲間との関係です。
ヨコヅナサシガメもおなじくアジア大陸出身の外来種で、1930年ごろに日本へやってきました。ヨコヅナサシガメは鋭く長い口を昆虫に突き刺し、その体液を吸ってしまう肉食昆虫です。
ヨコヅナサシガメ
ヒロヘリアオイラガとヨコヅナサシガメの両方が生息する街路樹を対象とした研究によると、ヨコヅナサシガメが多い木ではヒロヘリアオイラガの繭が少ない傾向にあり、ヨコヅナサシガメによる捕食圧があることが分かりました。
外来種の防除を行う際には、こうした外来種同士の関係にも注意しなくてはいけません。例えば、ヨコヅナサシガメを防除してしまうと、天敵が減ったヒロヘリアオイラガが増えてしまう可能性があります。
参照)中野貴瑛; 瀧本岳. ヒロヘリアオイラガとヨコヅナサシガメの外来生物間相互作用. 昆蟲. ニューシリーズ, 2011, 14.1: 11-20.
いつ・どこで見られる?
ヒロヘリアオイラガとヨコヅナサシガメはソメイヨシノなどの街路樹に生息しています。ヒロヘリアオイラガは6~9月ごろに発生し、冬は木の幹に写真のような繭を作って過ごします。
ヨコヅナサシガメは冬になると写真のように木の幹のくぼみに若虫が集まり、春になると成虫になって活動します。
いずれも一年を通じて見つけることができる昆虫です。
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