何が起こっているの?
近年、クマゼミはもともと都市部に生息はしていたものの、アブラゼミやミンミンゼミよりも個体数が少ない種類でした。
クマゼミ急増の理由
クマゼミの急増の謎を解き明かすべく研究が進められた結果、地球温暖化によってクマゼミの孵化の時期が変化したことが示唆され、それが急増の要因の一つとして考えられています。
セミの幼虫は木の幹に産みつけられた卵から孵化した後、安全な地中に潜り、ゆっくりと成長します。小さな幼虫は固い地面に潜ることが出来ません。そのため、雨が多く、地面が柔らかい時期に孵化した方が、生存率が高くなると考えられます。
昆虫の卵の成長速度は温度が高いほど早くなります。つまり、地球温暖化が進めば卵から生まれるタイミングが早くなるのです。都市部でのクマゼミの孵化のタイミングを調べた研究のシミュレーションによると、1900年代前半ではクマゼミの孵化のタイミングは8月上旬でしたが、現在では7月中旬ごろまで早まり、雨の多い梅雨の時期と被っています。
特に気温の高い都市部では、梅雨の間に孵化できるクマゼミが多く、生存率が高まったために、個体数が増加したと考えられます。
参照)森山実. (2013). クマゼミの生理生態学:都市部での増加の原因を探る. 昆虫と自然, 48巻, 11-14p.
地球温暖化と生物季節
クマゼミのように気温に応じて出現時期が変化するいきものはたくさんいます。地球温暖化が進むと生物季節が変化し、生態系が崩れてしまう恐れがあります。例えば、昆虫の出現時期と花の開花時期が合わなくなると花粉が運ばれず、実がなりません。これによって、私たちの暮らしを支える農業が大きなダメージを受ける可能性があります。
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