[コハクチョウ(Photo by akira)]
コハクチョウは、冬になると日本に飛来してくる水鳥です。近年、日本にやってくるコハクチョウに異変が生じています。その異変とは・・・
コハクチョウとは?
コハクチョウ(Cygnus columbianus subsp. bewickii)は、名前の通りオオハクチョウより一回り小さなハクチョウです。小さいと言っても全長は約120cm、見ごたえのある水鳥です。春から夏にかけてはユーラシア大陸の北部のツンドラ地帯で暮らし、そこで繁殖します。冬になり、気温が低下してくると南に下ります。そのうちの一部が日本にやってくるのです。日本に飛来する多くの個体は北海道を経由して、本州で冬を越します。
[コハクチョウの主な分布。ピンク:繁殖地、緑:越冬地。]
地球温暖化でコハクチョウに変化が!?
[コハクチョウの群れ(Photo by 壁ちょろ探検隊 隊長)]
日本で冬を越すコハクチョウの数は1980年頃までは2,000羽前後だったのが、近年では40,000羽前後にまで増えました。繁殖期と越冬期が温かくなったことで、繁殖率が高まったり、死亡率が下がったりしたと考えられます。
また、以前は北海道で越冬するコハクチョウはほとんど居なかったのですが、1990年代から増加し、近年では500羽前後が越冬するようになりました。地球温暖化により、北海道の冬の寒さが和らいだことによるものと考えられます。
コハクチョウの同定ポイント
コハクチョウと紛らわしいのがオオハクチョウです。ポイントは口の付け根の黄色い部分。鼻の穴の手前まで黄色いのがコハクチョウで、鼻の穴より先まで黄色いのがオオハクチョウです。
[コハクチョウの口元(Photo by よっくんだよ):黄色い箇所は鼻の穴の手前まで ]
[オオハクチョウの口元(Photo by パタ):鼻の穴よりも先まで黄色い]
省エネV字編隊!
ハクチョウやガンなどの渡り鳥はV字型の編隊を組んで飛翔することが知られています。実は、この飛び方は、とっても省エネであることが近年明らかになりました。前を飛んでいるコハクチョウの斜め後ろに上昇気流が生じるので、その風を掴むと少ないエネルギーで飛ぶことができるのです。
[コハクチョウの飛翔(Photo by Rrobin)]
見つけたら気候変動いきもの大調査(バイオーム)に投稿を!
コハクチョウを見かけたら、バイオームにぜひ投稿してください。みなさんからの投稿により、越冬の状況を明らかにしたいと思います。
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